肌育コラム

COLUMN
2018.12.27

【第二回】美肌は内側のケアから
~美肌、心、カラダの健康と栄養~

【第二回】美肌は内側のケアから ~美肌、心、カラダの健康と栄養~

皮膚は私達のカラダの中で最も大きな(表面積が大きな)臓器でもあります。健康な皮膚は、一番表面にある表皮だけでなくその下の真皮、皮下組織、そして血流、全身のホルモン分泌や神経系、腸内環境も健康でないと達成できません。

このような「皮膚との相関」(英語ではskin axis、皮膚との軸、と表現します)が近年より研究が進んでいます。わたしたちのカラダが、それぞれのパーツが独立してほかと関係なく存在し機能しているのではなく、カラダと心、皮膚と全身のいろいろな部位とがつながっていることが示されてきています。

「皮膚との相関」の中で一番知られているのが腸皮膚相関(Gut-skin axis)でしょう。腸内環境と皮膚が密接につながっていることは以前から知られていましたが、近年は腸内フローラ(腸内細菌叢=腸の中の菌たちのお花畑)の遺伝子レベルの研究解析が進んでいます。

腸内フローラにはいわゆる善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん=状況によって宿主である人間にとって良い働きをしたり、悪い働きをしたりする菌達)がある一定の割合で存在していることはわかっていましたが、以前は悪玉菌と呼ばれていた菌群が実は私達人間にとって良い仕事をすることがあることが発表されています。

腸の健康が損なわれると酒さ(しゅさ)という、顔が赤く炎症状になる皮膚の不調になりやすいことや、腸とアトピー性皮膚炎の関連も研究されています。腸と吹き出物やニキビについては実感されている方も多いのではないでしょうか。

腸内環境をよくするためには善玉菌の素であるプロバイオティクスをしっかり摂取することと、善玉菌のエサとなるプレバイオティクスをしっかり摂ることです。

プロバイオティクスは、ビフィズス菌や乳酸菌などで、食べものではヨーグルトやぬか漬け・キムチなどのお漬物、発酵食品などで、善玉菌の種類が12種類入っているメディカルサプリメンテ―ションなどもあります。

善玉菌のエサとなるプレバイオティクスは食物繊維で、もち麦などの全粒雑穀、昆布などの海藻、きのこや野菜などです。腸内フローラの研究が随分進む中で、わたしたちの皮膚表面のフローラにも着目されるようになり、皮膚フローラ・肌フローラの研究も行われています。

皮膚表面にいる菌たちのメタゲノミクス(細胞や菌の遺伝子を研究する分野)により、皮膚表面にわたしたちと共存している表皮ブドウ球菌や様々な菌たちが私達の皮膚を守るための脂質やタンパクを作っておりそれらが保水・天然保湿因子として働いていることもわかってきています。

皮膚の相関にはほかにホルモンなどの分泌と皮膚の密接な関係をみる「皮膚-内分泌学相関」や皮膚と神経のつながりをみる「皮膚-神経学相関」があります。

ホルモンの分泌状況で皮膚が変化することの中に、たとえば女性ホルモンとして知られるエストロゲンが、表皮のケラチノサイトや皮膚繊維芽細胞、色素と関連しているメラノサイトに作用して毛根細胞や皮脂細胞にも影響を与えていることはよくわかっています。

また、神経系でいえば、感情や情緒に影響を受ける自律神経が皮膚の毛細血管にまで伸びており、闘う逃げるモードの交感神経のときには血管を収縮させ、リラックス・リリースモードの副交感神経のモードのときには血管が弛緩するので、神経と皮膚も相関しています。安定したメンタルであってこそ、お肌も健康に安定します。

「生理前の肌荒れ」「寝不足で肌がボロボロ」「ストレスでじんましん」そういった悩みが外側からのスキンケアだけではなかなか解消できないのは皮膚が心とカラダのいろいろな部位に密接につながっているからです。心身の健康をより大切にしていきたいものです。

伊藤明子(いとうみつこ) <この記事の監修>
小児科医、公衆衛生専門医、同時通訳者
伊藤明子(いとうみつこ)

赤坂ファミリークリニック院長
https://www.afc.tokyo/
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事
東京大学医学部附属病院小児科医師
東京大学大学院医学系研究科公衆学/健康医療政策学教室非常勤講師
東京外国語大学卒業、帝京大学医学部卒業、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学卒業
近著に「小児科医がすすめる最高の子育て食」講談社
二児の母

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