肌育コラム

COLUMN
2018.07.30

界面活性剤の肌への影響を知ろう!

~界面活性剤は肌に悪い?由来によって肌への負担は変わる?無添加の方がよいの?~

界面活性剤について

<界面活性剤って肌に悪いの?>

「界面活性剤は肌に悪い!」そんな情報が溢れている一方で、界面活性剤を配合した化粧品はたくさん存在します。

「界面活性剤」はなぜ悪いと言われ始めたのか。そして、実際のところはどうなのか。それらについて解説したいと思います。

「界面活性剤が肌に悪い!」と主張するものを見てみると、いわゆる『洗浄剤』として使用される界面活性剤を指しているものがほとんどです。

後ほど詳しく説明しますが、界面活性剤には様々なタイプがあり、用途によって使い分けされます。

スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品のような洗い流さないアイテムに使用する界面活性剤は、『洗浄剤』として使用されるものとは全く違った分子構造をもち、非常に安全性が高く、肌に負担をかけないものになります。(医薬品の注射液に使用できるほど安全性が高いものもあります。)

ですから、肌に負担をかけやすい『洗浄剤』として使用される界面活性剤だけを引き合いに出し、すべての界面活性剤が肌に悪いかのように主張するのはナンセンスに感じます。

とはいえ、「石油系界面活性剤が怖い、危ない」というイメージが定着してしまった要因として『女子顔面黒皮症』という大きな社会問題があったことも事実です。

1960年代に日本中で多発した『女子顔面黒皮症』の原因として「石油系成分は悪い」とされることが多いのですが、当時の文献「女子顔面黒皮症-その研究の軌跡、小塚 雄民(1981)、J. Soc. Cosmet. Chem. Japan. Vol. 15, No1」を見てみると、黒皮症の原因物質として、石油系タール系色素である赤色219号、(実際にはこれら石油系タール系色素に含まれるSudanⅠ(スダンⅠ)と呼ばれる不純物※)の他、一部の香料成分が挙げられています。

つまり、ここには石油系界面活性剤や鉱物油は挙げられていないのです。

※現在では精製技術の向上によるアレルゲン物質の除去や、問題のあったタール系色素の使用できる部位を毛髪や爪に限定するなどの対応により、重度の皮膚トラブルはほとんど見られなくなっています。

また、石けんの代替として開発された石油を由来とした脱脂力の高い洗浄成分「ラウリル硫酸ナトリウム」が手荒れなどを引き起こすケースなどによって「界面活性剤は肌に悪い」というイメージが定着してしまったものと思われます。

しかし、今でも多くの化粧品に「石油由来」の成分や「界面活性剤」は配合されています。これはどういうことなのでしょうか。

<界面活性剤の働きと安全性>

界面活性剤には『洗浄剤』として使用されるものの他にも様々なタイプがあるとお話ししましたが、実際にどのようなタイプがあるのでしょう?

(1)アニオン(陰イオン)界面活性剤
主に洗浄剤として使用されます。
代表的なものとしていわゆる石けん(ラウリン酸Na、ステアリン酸Kなど)、ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na(サルフェート系)、ココイルグルタミン酸Na(アミノ酸系)など。

(2)カチオン(陽イオン)界面活性剤
主にトリートメント剤(毛髪に吸着)、殺菌剤として使用されます。
代表的なものとしてステアリルトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムブロミド、ココアミンオキシド、ベンザルコニウムクロリドなど。

(3)両性界面活性剤
水に溶けたときのpHによってアニオン型の性質をもったり、カチオン型の性質をもつもの。主に洗浄助剤(洗浄力や泡立ち向上のために加えられる)として使用されます。
コカミドプロピルベタイン 、ココアンホ酢酸Naなど。

(4)非イオン(ノニオン)界面活性剤
主に乳化剤(水の中に油、または油の中に水を均一に分散させるために使用される成分)、可溶化剤(本来、溶けないまたは溶けにくい物質を透明かつ均一に混ぜ込むために使用される成分)として使用としてされます。
ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル-2、セテス-20、PEG-60水添ヒマシ油 、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ポリソルベート60など。

洗浄剤・殺菌剤として使われると聞くと「刺激を感じやすいのでは?」「皮脂を根こそぎ取られるのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、 界面活性剤の配合量や他の成分などによって化粧品が肌へ与える影響は異なるので、「この界面活性剤を使っていれば安心」などとは一概には言えません。

そして、こういった界面活性剤の種類や働きの他に気にされるのが「石油由来」「植物由来」「合成」「天然」といった部分かと思います。しかし、化学的にみれば、同じ成分なら「植物由来」だろうが「石油由来」だろうが全く同じものなので働きや安全性に違いはありません。

また、「天然界面活性剤」と比較されがちな「合成界面活性剤」についてですが、化粧品に使われるもののほとんどは、何らかの手が加えられており、一般的に使用される界面活性剤は、パーツによって植物由来のものと石油系由来のものがあるのですが、植物由来の成分のみでできたものでも、それらをつなげるには合成によって行われているのが実情です。

(植物由来+植物由来、植物由来+石油系、石油系+石油系というパターンがある)

例を挙げてみてみます。

例1)まず化粧水、さらには注射液にも使用される『ノニオン界面活性剤』である「PEG-60水添ヒマシ油」。植物油脂である「ヒマシ油」を人工的に「水添(水素添加)」したものに、石油由来の「EG(エチレングリコール)」を60個結合して合成したものが「PEG-60水添ヒマシ油」です。(PEGの「P(ポリ)」は「多数の」という意味)。「ヒマシ油」に着目すれば植物由来になりますし、「PEG」に着目すれば石油由来となるわけです。

例2)次にオーガニック系コスメに使用されている「ラウリン酸ポリグリセリル-10」。この「ラウリン酸」は主にココヤシから得られる油性成分であり、これに植物由来の「グリセリン」を10個結合して合成したものですので、それぞれの由来は「植物」ですが、それらを結合させるのは人工的な「合成」であり、天然に存在するものではありません。

このようにほとんどの界面活性剤は合成されてつくられており、また由来が何であるかどうかで皮膚への安全性を判断するのは意味がないと言えるかと思います。

<界面活性剤に着目すべきポイントは?>

<界面活性剤に着目すべきポイントは?>

美容液・乳液・クリームなどの洗い流さないものに配合されている界面活性剤は総じて安全性が高いものを使用しており、配合されている量も少量なことが多いため、肌の刺激や負担を心配しなくてもよいものがほとんどかと思います。

ちなみに最近「ノンカチオン」を謳ったリンスやトリートメントが発売されていますね。これは界面活性剤の中でも毛髪や皮膚に吸着しやすく、場合によってはそれが刺激の要因になると考えられている「カチオン(陽イオン)界面活性剤」を不使用というもの。そして、代わりに使用される界面活性剤の代表格が「両性界面活性剤」です。
「両性界面活性剤」は一般的に「カチオン(陽イオン)界面活性剤」より肌への負担が少ないとされますが、商品のpHを酸性にすることでカチオン界面活性剤のようにふるまい、毛髪に吸着することでトリートメント効果を発揮します。つまり、肌がとても敏感な方にとってはうれしいことに違いありません。
ただしマイルドな分、毛髪吸着効果が弱くなることがあり、トリートメント効果が低いと感じることもあるので、髪のダメージが気になる方はどの程度のトリートメント効果があるのか使ってみなくては判断が難しいと言えます。

このように界面活性剤に限らず、化粧品を成分や由来などで良し悪しを断定することはおすすめできません。固定概念や間違った認識で商品を選ぶことは選択の幅を狭めてしまうことになり、自分に合う化粧品と巡り合う可能性を低くしてしまうからです。

重要なのは「界面活性剤が入っているから刺激がありそう」と断定するのではなく、サンプルなどで実際に使用したり、使用方法を見てどのような使い方をするのかを把握してから判断することです。

ただ、洗顔料・クレンジングなどの洗い流すものは、界面活性剤に着目することで、自身の肌質やメイクに合ったアイテムを見つけるために有用かもしれません。

成分表示をみて界面活性剤に分類されるもので一番最初に表示しているものが何であるか注目してみましょう。

(1)ラウリン酸、ミリスチン酸、もしくはラウリン酸KとかNa、ミリスチン酸KとかNaなど

→ いわゆる石けん系です。弱アルカリ性で洗浄力が高めなため、肌バリアが低下した人などは、洗いあがりにつっぱりを感じるかもしれません。

見分け方の目安として、「ラウリン酸」「ミリスチン酸」「パルミチン酸」「ステアリン酸」、さらにこれらにNa、Kがついたもの(例えば「ラウリン酸Na」「ステアリン酸K」)、「カリ石ケン素地」など「石ケン」という名称などが入った成分が挙げられます。

(2)ココイルグルタミン酸Na、ココイルメチルタウリンNaなど

→ いわゆるアミノ酸系です。弱酸性~中性で程よい洗浄力のため、洗いあがりがしっとりすることが多いので、肌バリアが低下した人も心地よく使えるものが多いです。

見分け方の目安として、○○(アミノ酸)△△となっているものが該当し、よく使われるアミノ酸として「グルタミン酸」「グリシン」「アスパラギン酸」「タウリン」などが挙げられます。

(3)ラウレス硫酸Naなどその他

→ こちらも弱酸性~中性となることが多いです。アミノ酸系よりは洗浄力が高く、肌バリアが低下した人などは、洗いあがりにつっぱりを感じるかもしれません。

前述した(1)や(2)以外のものが該当します。

ただしこれはあくまで目安であり、洗浄剤以外に配合される成分によっても肌への負担は変わってきます。

一部の成分の情報にとらわれすぎず、全成分を参考に実際に試した肌感覚やブランドの姿勢への共感などを軸に自分の肌質・メイク・スキンケア方法・ライフスタイルに最適なクレンジングや洗顔料に出会っていただければと思います。

<この記事の監修>
(株)ブランノワール 代表取締役 白野 実

国内化粧品メーカーにて23年間スキンケア化粧品、薬用化粧品の開発に従事したのち、化粧品および医薬部外品の品質保証業務に3年間従事。2017年2月 化粧品開発コンサルティング会社「株式会社ブランノワール」設立。開発コンサルティングの他、化粧品メーカーでの技術指導などを行っている。