肌育コラム

COLUMN
2018.09.28

肌荒れの原因は自律神経の乱れかも?
対策方法を徹底解説

肌荒れの原因は自律神経の乱れかも?対策方法を徹底解説

最近こんな症状を感じる方は多いのではないでしょうか?

・低気圧が近づくと体がだるい
・生理期間が乱れがち
・睡眠が浅い
・季節の変わり目には日々の寒暖差に体がついていけない
・こんなに私の体って弱かったっけ?と思うほどの疲労感
・疲れがたまっているのか肌荒れを繰り返していて、気分がのらない。

上に書いたようなお悩みを抱えている方、あるいは最近肌荒れがなかなかよくならないと悩んでいる方は、もしかすると “自律神経の乱れ”が原因かもしれません。

秋から冬に向けて空気の乾燥が進むと、肌荒れを起こしやすくなってきますよね。しかし、肌荒れと体の不調を同時に感じるなら、乾燥ではなく自律神経の乱れで肌荒れが起こっている可能性も。そこで今回は、自律神経と肌荒れについて、わかりやすく解説しようと思います。

肌荒れがなかなか治らない原因は?

顔の肌荒れとは、一般的に肌が不健康な状態になっていることを言います。
具体的な症状としては、

・肌がカサカサする
・肌が赤くなる
・肌にかゆみが出る
・肌がゴワゴワする
・肌にニキビができる
・肌がくすむ
・毛穴の開きや黒ずみ

このような症状があげられます。

さまざまなタイプの肌荒れ症状がありますが、
考えられる原因は

・肌に合わないスキンケア
・肌に合わないメイク
・紫外線などの外部刺激
・栄養不足
・生活習慣の乱れ
・ホルモンバランスの乱れ
・ストレス
・妊娠、出産

などが考えられます。

肌荒れの原因は自律神経の乱れにもあった!?

肌荒れの原因となる生活習慣の乱れ、ストレスは“自律神経の乱れ”を引き起こして肌や体調の不調を引き起こしている可能性が考えられます。

「自律神経」とは、内臓や血管の働きをコントロールしている神経。

眠っている間も心臓や呼吸が止まらずに働き続けてくれるのも、暑いときに自然に汗が出たり、びっくりしたときに心臓がドキドキするのも、すべて自律神経の働きによるものです。この自律神経が体をコントロールしているおかげで、あらゆる環境に適応し、健康を維持することができるのです。

自律神経には、主に昼間の活動時に活発な「交感神経」と、主に夜、リラックス時に活発な「副交感神経」があり、環境や時間帯など、その場の状況に応じてどちらかが働き、どちらかは力を弱めています。

その2つのバランスを損なってしまうのが、いわゆる「自律神経の乱れ」です。
不規則な生活やストレスによって自律神経の働きが乱れてしまうと、肌や体の器官に様々な不調が現われてしまいます。

例えば、体の緊張感が高まって夜でも交感神経が優位になると、なかなか寝付けなくなって寝不足になってしまったり、自律神経のバランスが崩れることで腸内環境が乱れたりしてしまいます。

ハードワークで夜遅くまで仕事をし、深く眠ることができず、翌朝も疲れが残ってしまう。
SNSやゲームなどに夢中で就寝時間が遅くなり、もう寝たいのになかなか寝付けない。
身に覚えはありませんか?(ないことを祈りますが・・・)

自律神経の乱れは、寝不足や腸内環境の乱れを引き起こし、肌荒れの原因となってしまうのです。

自律神経の乱れチェック

以下の項目にチェックが多いほど、自律神経の乱れが疑われます。
あなたはいくつ当てはまるでしょうか?

□昼夜が逆転した生活をしている
□睡眠不足が続いている
□仕事や勉強の成績が不振で悩んでいる
□食事は手早く食べることが多く、朝や昼を抜いたり不規則である
□人間関係に悩んでいる
□生活面での大きな変化があった
□最近ショックなことがあった
□健康に不安がある
□運動不足だ
□季節の変わり目に体調を崩すことが多い
□急に汗ばんだり、体温調節がうまくできないことがある
□やる気が出ない
□肩こりがひどい
□食欲がない

自律神経の乱れによる症状は人によってさまざまです。

交感神経の高まってストレスが続くことで交感神経が興奮状態となり、副交感神経が十分働けなくなると、睡眠の質が落ち、胃腸の調子もダウン、血行不良が生じて様々な全身症状が起こってくると考えられています。

肌荒れだけでなく、体調にも影響するので自律神経の乱れていると考えられる場合は、まず自律神経を整えることを意識してみましょう。

ここでは生活習慣と食生活の改善による具体的な対策方法を紹介します。

どれも規則正しさなどが求められるものが多いですが、心身の健康のためには大切なことです。少しずつでも実践できるように今の生活習慣をできることから少しずつ調整してみてくださいね。

1.生活習慣の見直し

肌荒れしにくい肌を保つためには、睡眠や入浴、運動、ストレスケアなど生活全般を見直すことも大切です。下記のポイントを確認しておきましょう。

睡眠

睡眠

睡眠不足は肌にとって大敵。肌の新陳代謝を活発にする成長ホルモンは就寝後、最初のノンレム睡眠90分~120分(合計1時間半~2時間)に多く分泌されます。※

参考:e-ヘルスネット:ノンレム睡眠(のんれむすいみん)

※深く眠るポイント※
・就寝前2時間は食べ物を口にしない(就寝時には血糖値が下がった状態にしましょう)
・就寝1時間前に入浴して身体を温め、眠るころに体温が下がるように調整する
・就寝前の1時間は脳を覚醒するようなことをしない

目覚めたときに、太陽の光を浴びることでメラトニンという睡眠ホルモンが抑えられ、その後14時間ほどで分泌されて眠くなるため、生活リズムを整えやすくなります。※
就寝後2時間の眠りの質を高めて成長ホルモンを分泌させ、肌をしっかり回復させることも大切です。


参考:JSTAGE:(PDF)地下空間の照明環境~サーカディアンリズムの観点から~


入浴

入浴

入浴することで血行が良くなり、肌の新陳代謝も高まるので肌荒れ対策に効果的です。

朝にお風呂に浸かることで交感神経を高めやすくなります。温度は高すぎず、39~41℃くらいがおすすめ。※1。

夜は38℃以下のぬるめのお湯に25~30分ほど浸かってリラックスしましょう。副交感神経が活発になります※1。

また、入浴時に注意したいのは、湯船の温度と洗いすぎです。

熱すぎるお湯に長時間浸かると、必要な皮脂が奪われて肌が乾燥しやすくなり、肌荒れの原因になりかねません。顔やカラダをゴシゴシ洗うのもNG。汚れを落とそうと強くこすって洗うのも肌のバリア機能低下につながり、肌荒れの原因となってしまいます※2。さらに、身体(内臓)をあたため過ぎると眠れなくなるので寝る2~3時間前までに入浴をすませましょう。※3

参考※1:JSTAGE:(PDF)入浴中の循環動態の変化に関する基礎的研究


参考※2:JSTAGE:(PDF)皮膚の水分量・油分量・pHならびに清浄度からみた清拭の効果


参考※3:JSTAGE:(PDF)ヒトの体温調節と睡眠


ストレス解消

ストレス解消

ストレスによる自律神経の乱れは、血行不良につながり、ターンオーバーが滞り、肌荒れの原因となってしまいます。

また、ストレスによって男性ホルモンを分泌されると、皮脂の分泌量が多くなり、ニキビや毛穴の目立ちなど肌荒れを起こしやすくなることも。毛穴が開くと化粧品や汚れが溜まりやすくなり、角栓の形成につながることもあるので※、美肌をキープするためにはストレスへの対処もとっても大切。

ストレスへの対処に3つの「R」が大切と言われています。

・Rest 休息
・Recreation 娯楽
・Relax 休養

どれかが必要なのではなく、どれもバランスよく必要です。

毎日、無理なく続けられるちょっとした娯楽や自分にとっての休養(アロマ・ストレッチなど)、そして休息(睡眠)。

自分に合ったストレス発散方法を見つけて、溜めずに解消するように心がけたいですね!

参考※:JSTAGE:(PDF)化粧品製剤におけるナノ粒子の活用


2.バランスのよい食事

2.バランスのよい食事

肌荒れをしにくい肌を育み、肌荒れを起こしても回復しやすい状態を保つためには、バランスのよい食事も大切な要素です。

特に次のようなポイントに注意して、肌にやさしい食生活を意識してくださいね。

ビタミン・ミネラルを積極的に摂る

肌の状態をキープするために欠かせない栄養素は、ターンオーバーを促すビタミンやミネラル。肌の生まれ変わりを助け、肌荒れ予防にもつながります。また、肌内部の水分キープや弾力アップ、キメを整えてくれる効果もあり、肌全体の印象を若々しくしてくれるはずです※。

ビタミンとミネラルは野菜・果物・海藻類・きのこ類に多く含まれています。牛乳にはタンパク質とビタミン類、ミネラルであるカルシウムが含まれているので、意外にも肌のハリ・ツヤをキープするために効果的ですよ!

参考※:JSTAGE:(PDF)ビタミン・ミネラルと食物繊維をバランスよく含むシリアルは若年女性の肌状態に好影響を及ぼす


発酵食品で自律神経を整える

発酵食品で自律神経を整える

発酵食品が美肌づくりに役立つことをご存知ですか?発酵食品を食べることで腸が元気になるため、自律神経を整えやすくなります。実は、アスリートの方もメンタルケアのために「腸内環境改善」を意識した食事を取り入れているそうですよ。

腸内環境は自律神経と深く結びついていて、腸が不健康だと自律神経のバランスも乱れて肌荒れが起こりがちに。腸はもともと脳がリラックス状態のときに働く「副交感神経」に支配されているので、脳が活動状態の「交感神経」が活発になると働きが低下します。この「交感神経」を活性化させる一因がストレスなのです。さらに、ストレスは腸内の悪玉菌を増やすという報告も…。

納豆・味噌・ヨーグルト・キムチ・チーズなどの発酵食品は腸内環境を整えてくれるので、腸から自律神経のバランスを整え、美しい肌をつくるために積極的に取り入れましょう※。

参考※:JSTAGE:(PDF)こころとからだの免疫学

疲労とストレスを溜めない生活が肌荒れ対策に

「最近肌荒れが気になる…」そんな方は、ご自身の心と体が疲れていないかよく見つめてみてください。

がんばりすぎている女性は、疲れによる肌荒れに悩んでいることも多いもの。疲労やストレスにくじけずにバリバリ頑張ることが、自律神経を乱して自分の体や心をボロボロにしているかもしれないなんて悲しすぎます。

「お疲れぎみかな?」と感じたら、敏感になっている肌をいたわってあげるため低刺激のスキンケアアイテムを選んでみてください。刺激を与えないように洗顔やクレンジング、スキンケアはそっと触れるように優しくしてあげましょう。

肌をいたわりながら自律神経を整えることを意識して、肌も心も元気にイキイキとみずみずしく過ごしていきたいですね。

荒浪 暁彦_あらなみクリニック総院長 <この記事の監修>
荒浪 暁彦
あらなみクリニック総院長
慶應義塾大学
漢方医学センター非常勤講師

【あらなみクリニック公式HP】
https://www.bihada-clinic.com/
 

浜松医科大学卒業後、同大皮膚科入局。同大皮膚科助手、関連病院医長などを経て、漢方医学、美容医学を学んだ後、静岡県島田市にあらなみクリニック開設。同院は医者が選んだ専門病院(ライフ企画)及び、オリコンメディカルでは東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)皮膚科部門で、医療水準1位、総合評価2位に選出され、全国アトピーの名医(日本医療企画)にも静岡県で唯1人選ばれた。浜松医科大学及び慶應義塾大学非常勤講師を兼務し、千葉県船橋市にも分院開設。