肌育コラム

COLUMN
2018.11.29

【第一回】美肌のために大切なこと
~美肌、心、カラダの健康と栄養~

【第一回】美肌のために大切なこと ~美肌、心、カラダの健康と栄養~

「美肌」というと、ほとんどの方がシミ・しわ・たるみ予防と改善を考えて外からのアプローチで美白化粧水や保湿乳液、クリームなどを使うことを考えると思います。ところが、皮膚の構造や生理学・生化学的な成り立ちを調べると、外からのアプローチだけでは健やかな肌を作ることが難しいことがわかってきます。

うちのクリニックは皮膚科ではなく、小児科・内科・リハビリテーション科なのですが、お肌トラブルで来院される患者さんはこどもも大人も結構いらっしゃいます。患者さんにはほぼ全員にお食事内容のヒアリングを行い、採血を行います。食事については、朝食・昼食・夕食を毎日摂っているのか、パターンとして何を食べているのか伺います。

よくあるパターンは、朝食にパンあるいはシリアルとコーヒーとヨーグルト、昼食にオフィス街のお弁当かコンビニランチでサラダ必須、夕食は自宅で定食風、というパターンです。朝食を食べないという方も5人に1人ほどいらっしゃいます。

朝食を摂らないと、夕飯からの食事を摂取していない時間が長くなり、体が飢餓と勘違いしてお昼ご飯の代謝の際に中性脂肪をより貯めこみ、LDLコレステロールをより作るようなモードになってしまいます。かつ血糖値が昼食後に急上昇しその後急低下しやすくなるので血管内皮が傷つくため病気リスクが上がります。「病気リスクが上がる」ということはお肌の調子が崩れやすくなる、ということにつながります。

全身の栄養の観点から、精神の安定や「やる気」ホルモンの面からも、食事は、朝食から、毎食、良質なタンパク質と微量栄養素・良質な脂質をしっかり摂ってこそ、美肌につながります。具体的な食べ方については後述させてください。

当院の採血では、皮膚トラブルに肝臓・腎臓など内臓の問題が隠れていることもあるので、一般的な採血項目で病気が隠れていないかを確認しつつ、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足している場合もお肌トラブルが改善せず悪化していくので、それらを考えての項目で採血をしています。

多数の採血結果から、皮膚にお悩みのある方に共通の不足栄養素がみられますし、これまでの研究文献からも、皮膚と栄養が長年研究されてきています。

採血の結果、女子(男子も)に不足している栄養としてまずタンパクが挙げられます。血液検査の結果からも、数値が低めの方ばかりで、L(Low=基準範囲よりも低い)のマークがつく方も多いです。また、不調で受診される方のほぼ100%が、ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素が欠乏しています。

栄養素が欠乏・不足していることがわかったら、食事と栄養素、場合によっては漢方なども併せてご処方・ご指導をさせていただきます。ご指導に沿って食事を注意して、栄養素の摂取を続けていただくと、2週間ほどで変化を感じる方が多く、4か月後にフォロー採血させていただくと、欠乏状態で数字が低かった微量栄養素がしっかりと改善された結果になります。お肌も、なかなか治りにくかった炎症が少しずつよくなっていき、乾燥肌が改善し、眼の下のクマが大幅によくなるなどの変化を拝見しております。

自分の健康状態をしっかり把握し、必要な栄養を摂ることで化粧品だけでは解決できなかった肌悩みが解消されるかもしれません。

外からのスキンケアだけでなく、食事の質や健康管理に目を向けていただくことをお勧めします。

伊藤明子(いとうみつこ) <この記事の監修>
小児科医、公衆衛生専門医、同時通訳者
伊藤明子(いとうみつこ)

赤坂ファミリークリニック院長
https://www.afc.tokyo/
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事
東京大学医学部附属病院小児科医師
東京大学大学院医学系研究科公衆学/健康医療政策学教室非常勤講師
東京外国語大学卒業、帝京大学医学部卒業、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学卒業
近著に「小児科医がすすめる最高の子育て食」講談社
二児の母