① ポジティブリスト収載防腐剤
・パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなど)
少量で様々な菌に効果があり、安定性も高く、色、においもほとんどない理想的な防腐剤。
化粧品に使用される原料は合成品ですが、天然物中にも広く存在し、ニンジン・トマトなどにも含まれていることがわかっています。
また、実はあまり知られていませんが、国内や海外で食品添加物として認められています。
最も代表的な防腐剤であり、誤解され、嫌厭されているパラベン。
その背景に、旧表示指定成分であること、内分泌かく乱物質「環境ホルモン」の懸念があること、パラベンと紫外線が作用してシミやシワなどの皮膚老化を引き起こす恐れがあるという研究報告があったことなどがあげられます。
旧表示指定成分とは、1980年に、「消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こす恐れのある製品の使用を自ら避けることができること」を目的として指定された成分で102成分+香料からなっています。
しかし、1980年以降も新しい成分はどんどん開発されているというのに、旧表示指定成分リストの見直しはされていません。つまりパラベンのように旧表示指定成分だけが皮膚障害を起こす恐れがあるわけではありませんので「旧表示指定成分不使用=敏感肌でも大丈夫」とは言い切れないので注意が必要です。
次に「環境ホルモン」問題ですが、現時点ではその作用は不明なところが多く、判断することが難しい状況です。「環境ホルモン」というと怖いイメージがありますが、「大豆イソフラボン」も「環境ホルモン」に類するものだったり、その他の防腐剤も似た構造のものもあるので、パラベンだけを取り立てて怖がる必要はないのではと感じます。
但し、環境の規制に厳しいEUではパラベンの中でもイソブチルパラベンは使用禁止に、プロピルパラベン、ブチルパラベンは3歳以下の子どものおしりふきなどの商品には使用禁止となっており、パラベンの中でも種類によって扱いを変えています(汎用されるメチルパラベン、エチルパラベンは従来通り配合可能)。今後、これが世界的に広がっていくのかも見守る必要がありそうです。
最後に2005年に報告されたパラベンと紫外線が作用してシミやシワなどの皮膚老化を引き起こす恐れがあるという発表についてですが、これはパラベンを製造しているメーカーである上野製薬(株)のニュースリリース「https://cosmetic-ingredients.org/ref/2005_methylparaben.pdf」にある通り、非現実的な試験方法で行われていると思われるなど、妥当性に疑問が生じているため、現在ではあまり話題にされることはなくなっています。
とはいえ、当時は大手新聞などで報道されたこともあり、パラベンが受けたマイナスイメージがなくなっているわけではなさそうです。
パラベンに限らず「○○が悪い」などといった論調の文章は人の注意を引き付けるネタになるため、多用されがちです。しかし、長年効果や安全性を研究され、市場に良いものをうみだしたいと開発された成分がそうそう、肌や健康に被害を与えるような働きをするとは考えにくいので、批判的な記事に踊らされないようにし、少しでも不安に感じた場合は直接メーカーに問い合わせて、その返答・対応含めて自分自身で判断していくべきだと思います。
・フェノキシエタノール
パラベンの次に多く使われる防腐剤。パラベンに比べるとやや防腐効果が低く、より多くの配合量が必要となる傾向に。
最近、フェノキシエタノールフリーを謳い文句とする化粧品も増えてきました。しかしながら、フェノキシエタノールが悪いという明確な論文や報告もなく、○○フリーをより差別化するためのひとつの戦略となっているようです。
・安息香酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、サリチル酸
酸型防腐剤と呼ばれ、オーガニック認証(COSMOS)においても使用できる防腐剤にリストアップされており、オーガニック化粧品に多く使われます。
製品のpHによって防腐力が変化する特性があり、例えばソルビン酸の場合、pH4.5での防腐力を100とするとpH5.0では58まで減少してしまうため、製品の安定性やバラつきに注意する必要があるなど、配合が難しい成分です。
② 他の配合目的を有する防腐成分
防腐剤フリーの化粧品に広く使われる防腐効果のある保湿成分。防腐剤フリーの流れによって配合される例が増えてきています。
ペンチレングリコールと1,2-ヘキサンジオールは数%、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリンは1%以下で効果を発揮します
・ペンチレングリコール
・1,2-ヘキサンジオール
・カプリリルグリコール
・エチルヘキシルグリセリン