肌育コラム

COLUMN
2019.6.19

肌に悩みを抱える女性必見!
ストレスが原因で起こる肌荒れと敏感肌

肌に悩みを抱える女性必見!ストレスが原因で起こる肌荒れと敏感肌

「お手入れをちゃんとしているのに肌荒れ…」「化粧品がしみる…」そんな症状が現れていませんか?すぐに肌荒れが起きる敏感肌の原因は、こころへの「ストレス」かもしれません。

健康的な肌を保つためには、毎日の正しいお手入れとストレスケアが大切。刺激に負けない強い肌を作っていけるように、敏感肌の原因と対処法をご紹介します。

まず「敏感肌」って、どんな状態の肌?

「すぐ赤くなる」「ヒリヒリしちゃう」敏感肌の方がよく言う、こういったトラブル。実は、「敏感肌」にはハッキリとした定義がありません。しかし一般的には、次のような特徴を持つ肌のことを敏感肌と呼んでいます。

アレルギー物質に反応しやすい

敏感肌の1つ目の特徴は、アレルギー性の物質に過敏に反応してしまうこと。アトピー性皮膚炎の方などが該当します。化粧品の成分や紫外線、大気などに含まれるアレルギー性物質により、痛みやかゆみ、ヒリヒリ感が起きてしまうタイプです。

刺激に対する抵抗力が低い

体質的にアレルギーではないのに、外からの刺激に弱い肌も敏感肌とされています。本来は健康な肌であるにも関わらず、さまざまな外からの刺激に弱いタイプです。

肌のバリア機能が低下することにより、外部からの刺激に弱くなり肌荒れが発生します。ドライスキンでバリア機能が低下し、肌表面が外からの刺激をブロックしきれなくなることが原因であり、そこに刺激が加わることで肌トラブルへと進展しがちな肌です。


参考文献:伊藤正俊,皮膚科医から見た敏感肌の皮膚科学的考察とその対策,Fragrance Journal, 30(10),11~16(2002)

ハッキリとした定義がない「敏感肌」。それでは、あなたは敏感肌なのでしょうか?ご自身で敏感肌だと感じていても、もしかしたらたまたま化粧品が合わなかったり、肌の調子が悪かったりしただけかもしれません。

そこで、今すぐにわかる「敏感肌チェック」で自己診断をしてみませんか?次の項目で当てはまる数が多ければ、敏感肌の可能性が高いので、ご自身でチェックしてみてくださいね。

・季節の変わり目になると肌荒れしやすい
・化粧品でかゆみや赤み、痛みが起こりやすい
・汗でかゆみを感じることがある
・部分的に乾燥が気になる
・アレルギー体質である
・洗顔をすると肌にヒリヒリ感がある
・十分なスキンケアをしても乾燥が気になる
・洋服を着るとチクチクすることがある

1つだけ当てはまった方は、敏感肌の傾向があります。もし3つ以上当てはまったら、慢性的な敏感肌の可能性があるので、普段のスキンケアでしっかりと保湿をしながら、肌に良い生活習慣を実践していくことがポイントです。

敏感肌がすすむ原因

「私、敏感肌かも…」そう思った方は、肌トラブルが軽いうちに食い止めることが大切。敏感肌がすすむ原因をチェックして、健康的な肌を保てるようにしましょう。

バリア機能低下は肌の乾燥が最大の原因!

外からの刺激に弱い敏感肌は、バリア機能の低下により進行します。そして、バリア機能の低下を引き起こす最大の原因が「乾燥」。乾燥した肌はバリア機能が低下して、外からの刺激に過敏な状態になります。

「アレルギー体質ではないのに肌が荒れる」という方は、肌が乾燥して、バリア機能が低下している可能性も。

保湿力の高いスキンケアアイテムで、しっかりと保湿をしていくことが大切ですね。

こころのストレスが肌のバリア機能にも影響する!

皮膚は分泌されるホルモンやストレスの影響を受けやすいと言われています。敏感肌の症状を訴える人から取ったアンケートでも、「ストレスが原因」だと答えた人が最も多い結果となりました。

参考文献:有川順子,アトピー性皮膚炎における敏感肌,Fragrance Journal, 30(10),25~28(2002)


スキンケアだけではカバーしきれない「ストレス肌荒れ」はどんな仕組みで起こるのでしょうか。

こころのストレスは自律神経に影響を及ぼし、外からの刺激に対して敏感になります。肌ダメージを受けた際の回復力と角層の水分が低下し、肌状態が不調になるという解析も。

参考文献:市川秀之,針谷穀,敏感肌の皮膚特性とストレスの関与について,Fragrance Journal, 30(10),43~48(2002)


紫外線などで日々ダメージを受けている肌は、ストレスによって修復力が衰えます。そして、そこに乾燥が加わることで、肌の調子がどんどん崩れていく…。これが「ストレス肌荒れ」の仕組みです。

敏感肌への上手な向き合い方

「健康な肌」は肌表面だけでなく、肌内部や血流、全身のホルモン分泌、腸内環境までももが影響します。そのため、肌は乾燥やストレス等によって簡単に調子を崩してしまいがち。

肌のバリア機能を整えるだけでなく、メンタル面からも良い状態を保っていくことが大切です。
それでは、具体的にどのようなことをしていくべきか、気をつけたいポイントをご紹介します。

敏感肌のお手入れに必要なスキンケア

敏感肌のお手入れには、保湿ケアをしっかりとして「うるおい」を保つことが大切。ご紹介する3つのポイントを意識して、うるおい肌を目指しましょう。

角層のうるおいを保つ

まずは、「角層」のうるおいを保つことが大切。角層とは、肌の表面に出ている一番外側の層のことです。

角層のうるおいをキープしているのは水分です。洗浄力の強い洗顔料を使うことを避け、肌がしっかりとうるおうような良質な化粧水やエッセンスで充分な水分を補給してあげてくださいね。

うるおいが逃げていかないようバリア機能を保つ

角層にうるおいを与えても、すぐに空気中に逃げてしまっては意味がありませんよね。

うるおいをキープしてくれるのは「皮脂」ですが、皮脂分泌量は年齢とともに低下してきます。肌内部のうるおいやキメを整えるためには、適度な油分を補って肌の表面にフタをしてあげるようにしましょう。

肌表面の皮脂膜が整っていないと、バリア機能が低下して肌トラブルが起きやすい状態に。バリア機能の維持をサポートしてくれる油分を補えば、肌に与えたうるおいを逃さずキープできるようになります。

参考文献:山戸 直弥,飛田 和彦,敏感肌向けのアミノ酸誘導体化粧品原料,Fragrance Journal, 30(10),73~79(2002)


メイク・スキンケアのトータルでみて「バリア機能」を壊さない

「洗浄力の強い洗顔料は使ってはいけない」とお話しました。しかし、日中に化粧直しの時間が取れず、メイク崩れも許されない方であれば、「崩れにくいメイク用品」と「よく落ちるクレンジング」が必須となるのは仕方がないこと。

洗浄力の強い洗顔料が必要な場合は、洗顔後に美容オイル・クリームなどをたっぷり使って肌バリア機能を補い、バランスをとることをおすすめします。肌への強い刺激を避けながら、角層のうるおいをキープするようにしてくださいね。

スキンケアでは防げない!?肌とストレスの深い関係

スキンケアでは防げない!?肌とストレスの深い関係

肌(皮膚)はホルモンやこころの影響を受けやすい器官と言われています。緊張・不安・落ち込み…など、こころへのストレスが増えると、肌バリア機能の回復が低下し、角層の水分量が減るという報告も。

肌は紫外線やエイジングで日々ダメージを受けています。そこにストレスが加わることにより肌の調子はだんだん下降気味に…。これが「ストレス肌荒れ」です。

ストレスによってゆらぐ肌への対処法を知っておけば、みずみずしくうるおった肌をキープしやすくなりますよ。

ストレス源を解消・改善する

ストレスを感じているなら、ストレス源を解消・改善していくことを一番に考えましょう。

ただし、ストレス源の解消・改善は簡単ではありませんよね。緊張感は人にとって大切なことですが、肌に影響を及ぼすほどなら生活や環境を見直してみてください。こころと体の健康には、次のような「ソーシャル・キャピタル」が必要だとされます。

・食と栄養
・睡眠
・運動
・生活習慣
・環境
・ストレス管理
・健全な人間関係

スキンケアの枠を超えたお話ですが、根本的な生活や環境を改善することで、悩みのタネだった肌荒れが自然と改善されることもありますよ。

ストレス緩和成分を摂取する

ストレス緩和成分を摂取する

ストレスを緩和してくれる成分を摂取することも、ストレス肌荒れ対策には有効。最近注目されている「GABA」には、ストレスを緩和し、肌のうるおいを保つ効果があるという報告もあります。

GABAには保水作用のあるヒアルロン酸の生成を促すことから、肌内部の水分キープに役立つ成分。さらに、眠りにつきやすくする作用もあると言われていることから、睡眠中の肌修復にも役立ってくれる可能性があるでしょう。

参考文献:外薗英樹,上原絵理子,γ-アミノ酪酸の経口摂取による皮膚状態改善効果,日本食品化学工学会誌, 63(7),306~311(2016)


ストレスや美肌に効果のあるオーガニックサプリをお探しの方は、ぜひこちらの記事もご参考ください。体の内側からサプリメントでケアしてあげれば、ストレスに負けない肌づくりに役立ちますよ。

敏感肌の人でもうるおい肌を目指せる!

敏感肌の人は、少しの刺激でもかゆみや痛み、ヒリヒリ感を抱いてしまいがち。それでも正しいスキンケアを行いながら、きちんとストレスに対処していくことで、健康的な肌をキープすることはできます。

洗浄力の強い洗顔料はなるべく避けて、保湿重視のスキンケアをし、必要な油分を補いながら乾燥をしっかりと防ぎましょう。そして、ストレスを感じないように生活や環境を変えていくこと、感じたストレスに上手に対処していくことも大切です。

肌の調子が優れないとメイクやおしゃれも楽しくなくなってしまいがち。今回ご紹介した内容を参考に、スキンケアとストレスケアの両面から肌のゆらぎを改善していきましょう!敏感肌の人もご自身の肌としっかり向き合って、健やかな状態をキープできるようにしていきたいですね。

荒浪 暁彦_あらなみクリニック総院長 <この記事の監修>
荒浪 暁彦
あらなみクリニック総院長
慶應義塾大学
漢方医学センター非常勤講師

【あらなみクリニック公式HP】
https://www.bihada-clinic.com/
 

浜松医科大学卒業後、同大皮膚科入局。同大皮膚科助手、関連病院医長などを経て、漢方医学、美容医学を学んだ後、静岡県島田市にあらなみクリニック開設。同院は医者が選んだ専門病院(ライフ企画)及び、オリコンメディカルでは東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)皮膚科部門で、医療水準1位、総合評価2位に選出され、全国アトピーの名医(日本医療企画)にも静岡県で唯1人選ばれた。浜松医科大学及び慶應義塾大学非常勤講師を兼務し、千葉県船橋市にも分院開設。