肌育コラム

COLUMN
2022.02.01

PMSや若年性更年期に悩む人に伝える
女性ホルモンとストレスの関係

PMSや若年性更年期に悩む人に伝える女性ホルモンとストレスの関係

今、20〜40代の女性に「PMS」と「若年性更年期障害」の悩みが増えていると言います。体調や心をうまくコントロールできず、「なんでこんな思いをしなきゃいけないの?」と一人でつらい思いを抱え込んでいませんか?
これらは「女性ホルモン」が大きく関わりますが、その引き金となるのは日々何気なく積み重ねている「ストレス」です。女性ホルモンとストレスの関係を知って、毎日の生活の中で少しずつ身体を変えていくヒントを探っていきましょう。

現代女性が悩むPMSと若年性更年期障害とは

20~40代の女性にとって非常につらい、女性ホルモンが関わる「PMS」と「若年性更年期障害」という2つの症状。どのような特徴があり、症状が現れるのでしょうか。 まずは基本的な知識からご説明していきますね。

PMS(月経前症候群)

「PMS(月経前症候群)」とは、月経が始まる3〜10日前の黄体期に起こるさまざまな心身の不快な症状の総称で、月経の始まりとともにその症状は軽減もしくは消失していきます。

肌荒れ・眠気・下腹部痛・頭痛・乳房痛・むくみ・便秘・腰痛・イライラや落ち込みなどの精神不安など症状はさまざまで、種類や程度は人により異なります。原因となるのは、女性ホルモンであるプロゲステロンとエストロゲンの分泌量が低下すること。月経がある女性の約50~80%に症状が現れると言われています。

若年性更年期

「若年性更年期障害」とは、実は正式な医学用語ではありませんが、更年期が始まる40代前にも関わらず更年期のような症状が見られる状態をわかりやすくした表した言葉です。無理なダイエットやストレス、喫煙、生活習慣の乱れなどが原因となり女性ホルモンの分泌量が減少することで身体に様々な不調が現れます。

例えば、ダイエットで体内が飢餓状態になると、脳は命を優先して「今は妊娠する時期ではない」と判断し、卵巣の機能をとめて女性ホルモンを出さなくなります。すると生理がとまり、同時にそれまでエストロゲンで守られていた消化器や皮膚、骨、脳など多くの臓器すべてが弱くなってしまいます。

出典:対馬ルリ子著. 女性ホルモンで日本一幸せになれる日本女性. マガジンハウス 2015; 108


いずれも症状が重くなると日常生活に支障を来すことに。また、若年性更年期では、排卵が止まってしまうなどより深刻な身体の不調へと繋がるケースもあります。大事なのは、心身に負荷をかけすぎないよう日頃から自分をちゃんと労ってあげること。また、不調を感じたら無理をせず周りの手助けを借りることも大切なことです。

女性ホルモンとストレスの関係

女性ホルモンの分泌量は、ストレスによって大きく影響を受けます。
ストレスが増えると月経不順になるという女性がいることからもわかるように、ストレスは脳からの情報伝達に影響を与えるもの。
女性ホルモンは脳の視床下部からの指令によって分泌されます。また、視床下部は自律神経の指令を司る器官であるため、精神的なストレスが加わると交感神経が優位になることで身体が緊張状態になり、女性ホルモンの分泌を低下させることに。日々のストレスに意識を向けて、上手に発散していくことが女性の健康維持の秘訣ですね。

現代女性のライフスタイルが女性ホルモンをみだす

今の時代、多くの女性が仕事で長時間に渡るパソコン作業をしていたり、眠る直前までスマホを見ていたり、自炊の時間が取れず食品添加物が多く含まれた食事をしていたり・・・と、女性ホルモンが乱れやすいライフスタイルを送りがちになっています。無意識のうちに女性ホルモンを乱してしまわないよう、注意するべきライフスタイルについて知っておいてくださいね。

大きな環境変化によるストレス

月経周期がようやく安定してきた18歳~25歳くらいまでは、女性ホルモンによる「守り」の働きが強固で病気にかかりにくく、若さゆえの体力もあるため、何でもチャレンジできるパワフルな時期といわれています。
ところが、現代女性はこの時期に「受験」「就職活動」「社会進出」など今までにない大きな環境の変化を経験します。
まったく慣れない環境でのストレスは体に与える影響が大きく、女性ホルモンの強固な守りも崩れ、体調にも影響することになります。

過度な頑張りによる隠れストレス

過度な頑張りによる隠れストレス

20代後半から更年期に入るまで(40代半ば)の時期は女性ホルモンの分泌が絶好調な性成熟期!体も精神もとても充実し、最高に満たされている状態といわれています。
責任ある仕事にやりがいを感じる女性、子育てと仕事を両立させている女性、子育てと家事に精を出す女性、仕事もしつつ趣味に没頭する女性など様々なライフスタイルがあるでしょう。
しかし、「仕事」や「子育て」は特に責任がともなうため、日々の小さなストレスが積み重なり知らず知らずのうちに大きなストレスになっていたということもよくある話です。心も体も無理がきく絶好調な時期だからこそ、ストレスに気づかないまま頑張りすぎていませんか?
「こんなことで疲れるなんて甘えている」などと無理をせずに、不調のサインがないか小まめに自分に問いかけてみてくださいね。

ストレスにより乱れた女性ホルモンバランスによる不調のサイン


□気分が落ち込みやすい、イライラする
□めまいや頭痛がする
□最近、やる気が出ない
□なかなか眠れない、疲れやすい
□目、鼻、口などが渇きやすい
□のぼせや発汗、動悸など更年期障害のような症状が出る
□月経周期が乱れている、無月経

20代から40代前半に過度なストレスを受けると、女性ホルモンのバランスが乱れ心身のコンディションが悪くなっていきます。
PMS(月経前症候群)や若年性更年期障害と称されている『更年期ではないのに更年期障害の症状が出る状態』となり、上記のような様々な症状に悩まされる事になってしまうかもしれません。日頃周りのいろいろなことに気を配っている分、時には自分の心身の変化に意識を向けてみることも大切なことです。

ストレスから解放されて健康を維持するために必要なこと★最重要

ストレスによる女性ホルモンバランスの乱れが与える心身への影響、こわいですね…。
とはいえ、ストレスは避けたくても避けきれないもの。
自身のストレス緩和をしながら、女性ホルモンのバランスが乱れる原因に気づいて取り除いていきたいですね。

ダイエットのしすぎ

無理なダイエットにより飢餓状態になると、「妊娠する時期ではない」と判断した脳が、卵巣の機能をとめ女性ホルモンを出さなくなってしまいます。
「守り」の働きをする女性ホルモンの分泌がされなくなることで、消化器・皮膚・骨・脳などの器官が弱くなり、卵巣が縮んでしまうことも。卵巣が縮むと、その後に食事から豊富な栄養を摂っても、排卵が再開されなくなってしまいます。さらに、若くして骨粗鬆症になったり、認知症のリスクが高まったり…。
将来の健康のためにも、無理のないダイエットを心がけましょう。


参考文献:対馬ルリ子著. 女性ホルモンで日本一幸せになれる日本女性. マガジンハウス 2015; 108-109

自己肯定感を高める

他人のことばかり気にして、自分のことが後回しになっていませんか?また人からの評価に振り回されて自分の素晴らしさを見失っていませんか?我慢をしすぎてストレスを抱え込んでしまうと、自己否定感によるうつになったり、女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼしたりしかねません。
心が苦しい状態になると、同時に体もボロボロになってしまいます。時には自分を優先したり、自身の頑張りを認めたりすることで自分と向き合う時間をつくってみましょう。女性が自立しながら人生を切り開くためには、心と体を良い状態に保ち、自己肯定感を高めていくことが最大のカギです。


参考文献:対馬ルリ子著. 女性ホルモンで日本一幸せになれる日本女性. マガジンハウス 2015; 051-053

健康意識を高める

日本女性の平均寿命は86.61歳。一方で、寝たきりにならずに過ごせる期間=「健康寿命」は74.21歳と、およそ13年もの差が現れています。健康寿命を妨げる不調の原因には、骨・脳・消化器・血管などがあり、これらは女性ホルモンである「エストロゲン」と深く関係しています。
元気に一生涯を生きるためには、体をつくる思春期からはもちろん、エストロゲンが減り始める40歳頃から健康意識を高めていくことが欠かせません。健康の肝は「生活習慣の改善」「運動」「食事」。
今すぐにすべてを変えることは難しいかもしれませんが、ストレスを溜めないよう意識することはもちろん、規則正しい生活で自律神経のバランスを整えたり、軽い運動を続けたり、良質な食事を心がけるなど、できることから少しずつ始めてみましょう。


参考文献:対馬ルリ子著. 女性ホルモンで日本一幸せになれる日本女性. マガジンハウス 2015; 160-161

健康を守る女性ホルモンを味方にして!

女性の健康は常に女性ホルモンと密接にあって、その関係性は一生に渡って続きます。女性ホルモンを味方につけるには、ストレスのない心地いい暮らしを日々積み重ねていくこと。それには自分自身でカラダのリズムを把握しながら、波に乗っているときも落ち込んでいるときも決して自分に無理をしないことが大切です。自分のカラダを最優先に思いやることで女性ホルモンと長くいい関係を築いていきましょう。

荒浪 暁彦_あらなみクリニック総院長 <この記事の監修>
富田 和美
ナチュラルセフルケアコーディネーター
自然療法家
セラピスト
リフレクソロジスト

【ヒーリングサロン和草公式HP】
https://r.goope.jp/nico-gusa
 

外資系化粧品メーカーでの美容部員、メイクアップアーティスト、セラピスト、ブランドトレーナー、コスメバイヤー等約30年に渡り化粧品業界で様々な仕事に携わる中、30歳すぎに経験した自身の肌荒れを皮切りに、不妊治療や更年期の劇的なカラダの変化など様々な実体験から「肌とカラダを活かすナチュラルセルフケア」を独自に導き出し、美容家としてオーガニック・ナチュラルコスメメーカーと消費者とを繋ぐ様々な活動を行う。2015年にオープンした自然療法サロン「ヒーリングサロン和草」での個人セッションをはじめ、全国各地でのワークショップ、大手百貨店でのイベントディレクター等の活動を通し毎日をここちよくする衣食住の提案を行う。近年は、デリケートゾーンケアをメインとしたセミナーや個人カウンセリングを通じて不妊や更年期の悩みを抱える女性へのサポート活動にも力を入れている。