肌育コラム

COLUMN
2022.2.18

プロに教わる!体にいい沖縄料理レシピ 〜チャンプルー編〜

プロに教わる!体にいい沖縄料理レシピ 〜チャンプルー編〜

沖縄好きにはたまらない美味しい沖縄料理・・・実は体にもいいことをご存じでしたか? 沖縄出身のフードアナリスト玉城さんに、伝統的な沖縄料理の知恵「食はクスイムン」という考え方を教えていただきました。

そして「基本のチャンプルー」レシピも教わりました。旅行に行きづらい今、ぜひ本場らしい味わいを求めてご自宅で作ってみませんか?

沖縄料理を「健康長寿食」と呼ぶのを聞いたことがあるかもしれません。 現在の沖縄はかげりを見せているものの、1985年時点では男女ともに平均寿命全国ナンバーワンの県でした。

沖縄の平均寿命

別の統計では、伝統的な食生活をしてきた世代と現代的な食生活で暮らす世代とでは平均余命が違うことも示されており、かつての暮らし方を見直す動きも出ています。

では、「伝統的な」沖縄のくらしの知恵とは何でしょうか?
それは私たちの「ふだんの暮らし」にも生きるものなのでしょうか?

伝統的な沖縄料理には「医食同源思想」が根付いている

「食はクスイムン」という考え方

「クスイムン」とは沖縄の方言で「薬になるもの」、つまり体に良いものという意味で、中国から学んだ医食同源(薬食同源)の思想が根付いていることがコトの始まりです。

沖縄がかつて琉球という国だった頃から東アジア各国との交流が盛んで、とりわけ中国とは深い繋がりがありました。 中国で食医学を学んだ琉球王府の医師が琉球に戻り、ある書物を編修したのが約200年前のことです。

沖縄で手に入る約300の素材に効能を見出し、食医学と掛け合わせたその内容が「食はクスイムン」という考え方のルーツとなりました。

「クスイムン」の考え方は後に、口伝えや実体験をともない庶民の間にまで広く浸透することとなりました。 ちなみにこの本には、「ゴーヤー」についてはこう書かれています。

「邪熱を除き、労乏(つかれ)を解き、目を明らかにする。夏の月は毎日食つてよい。」
(訳: 体にこもった熱をしずめ、疲れを取り、目の疲れにも効く。夏は毎日食べて良い。)

ゴーヤーに期待できる効能は今でこそ明らかですが、この本に書かれているように素材の持つ効能を捉え、必要なタイミングで食する「食養生」の考え方が受け継がれていることが、伝統的な沖縄のくらしの知恵というわけです。
これは、今を生きる私たちも意識したい考え方なのではないでしょうか。

一皿で栄養バランス◎な沖縄家庭料理

沖縄料理が健康食と言われる理由は「食べ合わせ」にもあります。
一皿で栄養を補完できる家庭料理が多いことが特徴の一つで、時短でシンプルな食事スタイルです。

ゴーヤーチャンプルーを例に図解してみましょう。
主な材料はゴーヤー、豆腐、豚肉、卵、鰹節、そして塩。
炭水化物以外の栄養素(タンパク質, 脂質, ビタミン, ミネラル, 食物繊維)を補完でき、体に良い取り合わせにもなっていることがわかります。

ゴーヤーチャンプルー図解

体がよろこぶ「基本のチャンプルー」を作ろう!


最後に、基本のチャンプルーの作り方をご紹介します。
チャンプルーとは「島豆腐と季節野菜の炒め物」のことを言いますが、作り方のコツを押さえておけば、ゴーヤー以外の色んな素材でアレンジ可能です。

「一皿完結」「時短」「体がよろこぶ」沖縄食の知恵が、日々の暮らしを無理なくナチュラルに支えるものになればと願います。

材料(2〜3人分)


ゴーヤーチャンプルー_材料

・ゴーヤー 300g(大1本, または中1.5本)
・豚バラ肉スライス 100g
・島豆腐(または木綿豆腐)300g
・溶き卵 2個分
・水 大さじ3
・削り節 5g
・塩 小さじ1/2
・しょうゆ 小さじ1/2
・サラダ油 1・1/2

作り方

1. 豆腐を大きめの一口大に手で割り、塩ふたつまみ(分量外)をなじませ、ペーパータオルで包んで水気をよく切る。 ゴーヤーは縦二つに切って、スプーンで種とワタを取り除き、3〜4mm幅の薄切りにし、塩ふたつまみ(分量外)を加えて揉み込む。
豚肉は2cm幅に切る。

ゴーヤーチャンプルー_材料 ゴーヤーチャンプルー_材料

2.フライパンにサラダ油大さじ1を入れて熱し、豆腐の両面を焼いて取り出す。

ゴーヤーチャンプルー_材料

3.フライパンにサラダ油を大さじ1/2を入れて熱し豚肉を炒め、肉の色が変わったらゴーヤーを加えて炒め合わせる。

4.ゴーヤーの縁に透明感が出るまで炒めたら、水・削り節・塩を加えてひと混ぜし、蓋をして蒸し焼きにする。(30秒〜1分)

ゴーヤーチャンプルー_蒸し焼き1 ゴーヤーチャンプルー_蒸し焼き2

5.②の豆腐を戻し入れ、鍋肌からしょうゆを回しかけ軽く混ぜたら、溶き卵でとじて完成。予熱で卵に火を通す。

ゴーヤーチャンプルー_溶き卵 ゴーヤーチャンプルー_完成

美味しく仕上がるコツ

「強めの火でささっと」がチャンプルーの基本!
火にかけたら一気に仕上げるのが、チャンプルーの基本です。
材料から余分な水分が出ず、味がぼやけません。

豚と鰹節の「合わさるうま味」がチャンプルーの美味しさ!
油で炒めたゴーヤーにうま味が加わることで、美味しい苦味に変化します。
炒めた豚肉から出る脂をゴーヤーにまとわせるイメージで炒めていきましょう。
鰹節が加わることでうま味効果も倍増。沖縄らしい味わいにもなります。


【プロ技】 いつもの木綿豆腐を島豆腐風にアレンジ

島豆腐を探すのは一苦労かもしれませんから、いつもの木綿豆腐にひと手間加えて「島豆腐風」にしてみませんか?

豆腐1丁に対して2〜3つまみの塩をなじませペーパータオルで包み、重石をして30分〜1時間おくだけです。 豆腐の豊かな風味が引き立ち、ゴーヤーに負けないくらいに存在感が引き上げられます。

島豆腐風_木綿豆腐 島豆腐風_ペットボトル

※ ペーパータオルは途中で取り替えてください。

参照:高木凛,『大琉球料理帖』, 新潮社
「日本の食生活全集 沖縄」編集委員会, 『日本の食生活全集47 聞き書 沖縄の食事』,
農山漁村文化協会

玉城 久美子_沖縄ライフスタイルアドバイザー <この記事の監修>
玉城 久美子
沖縄ライフスタイルアドバイザー

https://linktr.ee/kumikotamaki

沖縄県那覇市出身、東京都内在住。
「沖縄に関すること」「食に関すること」が活動の中心。(沖縄料理教室主宰、レシピ開発、食イベントのコーディネート、記事執筆、沖縄食文化講話など)
「沖縄ライフをふだんの暮らしに」「地域各地のイイモノ・イイコトを暮らしに」をテーマに、心と体に優しい生活を送るお手伝いをします。