肌育コラム

COLUMN
2018.11.29NEW!

オイルってどんなもの?

「年齢とともに皮脂分泌量が減り、乾燥が気になる。」「夏はクーラー、冬は暖房の風で乾燥する。」このように通年、乾燥肌に悩む方が多いように感じます。
乾燥肌でお悩みの際に化粧品選びのポイントとなる成分の一つが「オイル(油性)成分」です。

一口に「オイル」と言ってもその種類は様々です。
今回は、オイルの分子構造によって、どのようなものがあり、どのような特徴があるのかをご紹介します。

(1)炭化水素

「炭素」と「水素」のみから構成される物質で、「油」の基本骨格となります。

この「炭素」と「水素」のみでできた「炭化水素」は水と全くと言っていいほどなじまない性質があるため、オイルシール効果(皮膚から出ていこうとする水分を跳ね返す効果)が高くなるのが特徴です。また酸化しにくいことも大きな特徴です。

代表的な成分としては「ミネラルオイル」「ワセリン」「パラフィン」などの石油系炭化水素(鉱物由来)、「スクワラン」などの天然由来炭化水素、「水添ポリイソブテン」「オレフィンオリゴマー」などの合成油があります。

(2)高級アルコール

炭化水素にアルコール(水酸基、OH)が付加した構造です。「高級」とありますが、「ラグジュアリー」的な意味ではなく、炭化水素の炭素の数が多くなって、水に溶けなくなったものを「高級」アルコールと呼びます。

乳液やクリームなどに硬さを付与し、コク・リッチ感のあるテクスチャーに。また、安定性を向上させるためにも使用されます。

代表的な成分としては「セタノール」「」「ベヘニルアルコール」などが挙げられます。

(3)高級脂肪酸

炭化水素にカルボキシ基(COOH)が付加した構造をもつもので、「高級」は先ほどと同じ意味合いです。

最も多い利用例は石けんの原料で、アルカリ成分(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)と一緒に使用されます。また高級アルコールと同様に乳液やクリームなどの硬さを付与し、テクスチャーにコクを与えるために使用されることもあります。

高級脂肪酸などの脂肪酸は大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。ちょっと難しい話になりますが、二重結合をもった分子構造のものを「不飽和」と言います。

「不飽和」のものは「飽和」のものに比べ「柔らかくなる」性質をもつのと同時に「酸化されやすい」性質をもちます。また「不飽和(二重結合)」が多いほど、より酸化されやすくなります

代表的な飽和脂肪酸は「ラウリン酸」「ミリスチン酸」「パルミチン酸」「ステアリン酸」。
代表的な不飽和脂肪酸は「オレイン酸(二重結合がひとつ)」、「リノール酸(二重結合が2つ)」、「リノレン酸(二重結合が3つ)」などです。

(4)エステル(油)、ロウ

高級アルコールと高級脂肪酸(または酸)から合成される物質をエステル(油)と呼び、エステル油を主成分にした天然の油性成分を「ロウ」といいます。

「エステル(油)」はアルコールと酸をいろんな組み合わせでくっつけてできるので、様々な使用感や機能をもつものを作ることができ、非常に多くの化粧品に使用されています

例えば、高級脂肪酸である「パルミチン酸」とアルコールの「セタノール」を組み合わせて合成すると「パルミチン酸セチル」という固形状の油性成分ができます。また、高級脂肪酸「パルミチン酸」とアルコールの「エチルヘキサノール」を組み合わせると今度は「パルミチン酸エチルヘキシル」という、液状の軽いオイルができます。その他にも「リンゴ酸ジイソソテアリル」という粘性のあるものなど、様々な使用感によって化粧品のテクスチャーの多様化を可能にしています。

また天然の油性成分である「ロウ」の代表的な成分として、ホホバオイルなどの「液状ロウ」、キャンデリラロウやミツロウなどの「固形ロウ」が挙げられます。ホホバオイルが他の植物オイルと違う構造をしているというのは意外ですよね?

(5)油脂

先ほどのエステル(油)の中でも、特に1つのグリセリンと3つの脂肪酸がくっついてできたものを「油脂」と呼びます。「トリグリセリド」「(中性)脂肪」とも呼ばれ、自然界に多く存在しています。ヒトの皮脂の約4割がこの「油脂」と言われており、動植物由来のオイルの主成分のほとんどが、この「油脂」に該当します。

詳しくは<植物オイルについて>にて説明しますね。

(6)その他(シリコーンオイルなど)

オイル(油性成分)の基本骨格は「炭素」と「水素」と最初に説明しましたが、「ケイ素」と「酸素」を基本骨格とし、そこに「炭化水素」などがくっついたものを「シリコーンオイル」と呼びます。

ちなみに「シリコーンオイル」は「シリコン」と混同されがちですが、「シリコン」は「ケイ素」のことで「シリコーンオイル」とは全く別物です。

特徴としては水にも油にもなじみにくく、またべたつきのないすべすべとした独特の使用感をもちます。また熱などに対しても性質が安定して変化しにくい性質があります。

化粧品ではいわゆるシリコーンオイルと呼ばれる「ジメチコン」、揮発性がある「シクロベンタシロキサン」など「~メチコン」「~シロキサン」と呼ばれるものが使用されます。

またシリコーンオイルよりもさらに撥水、撥油性に優れた性質をもち、化粧崩れしにくくするために使用される「パーフルオロ~」(ケイ素ではなく「フッ素」を骨格に持つ)という成分もあります。

植物オイルと選び方のコツ

先ほど、様々なオイルの種類を紹介しましたが、オーガニックコスメを愛用している方々にとっての関心ごとは「油脂」のジャンルではないかと思います。
ここからは、植物オイルについて説明していきます。

先ほど動植物由来のオイルの主成分は「グリセリン」と「高級脂肪酸」がくっついた「油脂」という話をしました。

「〇〇オイルにはオレイン酸が多く含まれている」などと言いますが、厳密に言うと「〇〇オイルは「グリセリン」とくっついている「高級脂肪酸」が「オレイン酸」である割合が多い」ということになります。

ちなみに、これら「油脂」は、皮膚に存在するアクネ菌などによって「高級脂肪酸」と「グリセリン」に分解され(この時に分解してできる脂肪酸を「遊離脂肪酸」と呼びます)、これらも皮脂膜の重要な成分となっています。

さて、植物によって、油脂を構成する脂肪酸は多岐にわたり、それが性状や使用感、肌への効果などの違いになります。

例えば「アルガンオイル」は不飽和脂肪酸の「オレイン酸」と「リノール酸」がほぼ同じくらいの比率で構成されています。「リノール酸」が多くなると酸化されやすくなりますが、使用感はリッチな方向に向かいます。

また、植物も自身のオイルが酸化しにくいように工夫しているのか、酸化しやすい脂肪酸組成をもつものは、抗酸化成分であるビタミンE(トコフェロール)を多く含有する傾向にある*など、「脂肪酸の割合(組成)」に着目することで肌質・肌効果にあったオイルを見極めやすくなると思います。

*ただし、加工方法(精製など)や産地などで、これらの値は変わる

前述の内容を踏まえて、オイルを選ぶ際のおすすめを簡単に紹介します。

・昼の乾燥対策に向いているオイル

オイル成分において日中で一番問題となるのは紫外線による酸化です。なるべく酸化しにくいスクワランやミネラルオイル・エステル油がおすすめです。

・夜の保湿、肌修復に向いているオイル

不飽和脂肪酸は肌を柔らかくする効果が高い傾向にあるため、夜のお手入れには不飽和脂肪酸がリッチなオイルがおすすめです。

・激しい乾燥肌をとりあえずなんとかするのに向いているオイル

炭化水素の中でも最も優れたオイルシール性を有する「ワセリン」がお勧めです。ただし夏季など汗をたくさんかく時期は発汗を抑えてしまい、肌への負担につながることもあるので注意が必要です。

最後に

オイルに関しても「石油由来のものは毒性があって肌に悪い」「石油由来は皮膚呼吸できない」といったイメージから、由来を気にする方が多くいらっしゃいます。

しかし、各オイルの性質・特性をしめしているのは「分子構造」であり、「由来」ではありません。ナチュラルコスメや無添加コスメが好きで敏感肌の方に嫌厭されがちなシリコーンオイルやワセリンも、取り入れようによってはデリケートな肌の強い味方になることもあります。ですから、肌・美容目的の視点であれば、あまり由来にとらわれなくてもよいと思います。

その上で、「環境に配慮して、石油由来のオイルを使いたくない」「由来となる植物の栽培者を応援したい」などといったそれぞれの思想に基づいて化粧品の取捨選択をされることが「自分にとって最も良い化粧品」に出会うための近道になるはずです。

<この記事の監修>
(株)ブランノワール 代表取締役 白野 実

国内化粧品メーカーにて23年間スキンケア化粧品、薬用化粧品の開発に従事したのち、化粧品および医薬部外品の品質保証業務に3年間従事。2017年2月 化粧品開発コンサルティング会社「株式会社ブランノワール」設立。開発コンサルティングの他、化粧品メーカーでの技術指導などを行っている。

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