肌育コラム

COLUMN
2022.02.02

更年期を快適に過ごすための「自身との向き合い方」

更年期を快適に過ごすための「自身との向き合い方」

いくつになっても気持ちは若いし、女性としての魅力に変わりはないと思うものの、「わたしだけ汗ダラダラ?」「最近なんだかやる気が湧かない…」なんて気づけば少しずつ変わっていく自分の身体。

誰もが通る道とわかってはいるけれど、やっぱり戸惑いを感じてしまう「更年期」。女性の身体に必ず訪れる更年期とは、いったいどのようなものなのでしょうか。少しでも快適な時間にするためのヒントを一緒に探っていきましょう。

女性ホルモンのバランスが変化する更年期

閉経をはさんだ約10年間の更年期は、女性の人生の中で身体がもっとも大きく変化する時期。個人差はありますが、日本人の閉経は平均して50歳くらいですので、だいたい40代半ばぐらいからがその時期に当たります。

生殖器官としての役割を終えた卵巣機能が徐々に働く力を弱め、エストロゲンの分泌量が急激に減っていきます。その一方で、卵巣との交信がうまくいかず脳がパニックを起こして、もっと卵巣に指令を出そうとオーバーワークになることで自律神経のバランスも乱れていくため、ホットフラッシュ(のぼせや発汗)や動悸・めまいなどを引き起こしたり、冷えや不眠、頭痛など自律神経失調症と同様の症状が現れます。

更年期の症状は数百種類にも及ぶと言われ、そのうち、仕事や家事ができない、寝込んでしまうなど心身の症状が重く日常生活が困難になる場合を「更年期障害」といいます。

更年期の症状の現れ方は千差万別で、中にはまったく症状を感じないままその時期を終える人もいます。もっとも、女性にとってエストロゲンは身体の健康を維持するためのお守りのような存在ですから、その分泌量が急激に減るとなると、軽い症状も含めておよそ8割の女性がこれまでに経験したことのないような身体の変調を感じると言われています。

エストロゲンの材料となるコレステロールが消費されずボディラインがふっくらしたり、肥満傾向が強くなってなかなか痩せにくかったり、血管や骨がだんだんと脆くなりトラブルを起こしやすくなるのも更年期の特徴。また、エストロゲンは記憶力のサポートも担うため、その減少によって認知症になる確率も男性より3倍ほど高いことがわかっています。

<更年期のエストロゲン減少による主な症状>

●ほうれい線、シワが深くなる・シミが濃くなる・肌の脂分が減る・爪がぼこぼこする
●髪のボリュームが減る・白髪がますます増える・髪が細くなる
●憂鬱になりやすい・イライラする・頭痛がする
●のぼせ・ほてり・急に発汗する
●物忘れしやすくなる
●孤独感を感じる
●ドキドキする
●めまい・しびれ

若いのに起こる更年期のような症状…これって若年性更年期!?

最近、20代や30代でもホットフラッシュや動悸、イライラしたり、うつ状態になったりなど更年期にとてもよく似た症状を訴える女性が増えています。しかし、閉経前後でなければ更年期とは言いません。

実のところ「若年性更年期」という医学用語はなく、20代や30代に起こる心身の不快な症状は、閉経による女性ホルモンの減少が原因の更年期とはまた別の問題と原因があると考えられます。

※若い女性でも卵巣機能の低下により月経が止まる病気はあります。

若い女性の不調は、現代女性のライフスタイルに大きく関係しています。以下のコラムで原因と対策について記述していますので、気になる方はぜひご覧ください。

肌育コラムhttps://ruhaku.jp/column/columndetail34/

更年期は自分史を振り返り、新しい自分の魅力を発見する時期

こうして見てみると、次々と心身の不調に見舞われる更年期は辛いことの連続で、どうしてもネガティブなイメージばかりが先行しがちです。でも本当にそうでしょうか。

確かに、これまで無我夢中で仕事や家事・育児に邁進してきたのもひと段落して、さぁこれからが自分の時間!という時に身体の調子が出なくなっていくのはとてももどかしいことです。しかし、更年期は身体の大きな変化を感じながら自分に意識を集中できる時間と捉えることもできます。「これまでの自分をゆっくり見つめ直すための時間」でもあるのです。

もしも今まで周りのことばかり優先して生きてきたとしたら、ここから先は自分を最優先に過ごすご褒美の時間。まず手始めに、自分史を振り返り人生の棚卸をしながら、これからの自分をご機嫌にする生き方をイメージしてみる。更年期を「人生の一大転換期」と捉えて、ポジティブにより自分らしく生きるための方法をどんどん探っていきましょう。

平均寿命が50歳にも満たなかった戦前の女性とは違い、現代女性の一生は更年期以降もまだまだ続きます。ある限りの時間を元気いっぱい楽しむために自分の身体との向き合い方を考えてみたり、やってみたかったことや行ってみたかった場所など自分の思いのままに行動してみたり、いろいろな可能性を「自己中心的」に探っていく作業はとても楽しいものです。

心身の不調が重たく感じられる方には、自分自身の肌に触れるセルフケアがとてもおすすめ。特に身体の広範囲に触れることのできるボディケアは、エストロゲン不足で乾きやすくなった肌を潤わせながら、皮膚に触れる心地よさで幸せホルモンの「オキシトシン」を誘発させて脳のリラックスにもつながります。また今の時代は、婦人科の医師に相談することでさまざまな治療法の選択肢も用意されています。

体の不調に耐えられないほど振り回されているとしたら、女性ホルモン『エストロゲン』を補充する『ホルモン補充療法(HRT)』も一つの選択肢。他にも漢方薬・サプリメント・運動療法・アロマセラピーなどなど…さまざまな治療方法が用意されています。

自分自身で気持ちを高めることが困難な心身状態を感じたら、迷わずに婦人科の先生と相談してご自身にあった対策方法を見つければ、更年期の不調に悩むことなく活動的な毎日を送れるようになるでしょう。

更年期は自分を見つめ直す時期

セルフケアでも更年期のちょっとした不調への対策ができることをご存知ですしょうか?自宅で更年期対策を行うためのおすすめセルフケアをご紹介していきます。

自律神経のバランスを整える

自律神経のバランスを整える

最初にお話ししたとおり、更年期にはホットフラッシュや発汗などの症状がよく見られます。これは、エストロゲンの急激な減少によって自律神経のバランスが崩れてしまうためです。

そのため、自律神経のバランスを整えることが更年期対策として効果的!更年期になると、自律神経のうち「活動」を司る『交感神経』の働きが低くなると報告されています。自律神経をうまく働かせるためには、次の項目からご紹介する「生活改善」と「ストレス軽減」を実践することがおすすめです。

参考『(PDF)レーダーチャート式自律神経バランス解析の女性更年期障害患者への応用』


生活習慣を改善しよう

生活習慣を改善しよう

自律神経のバランスを整えるためのもっとも基本的な方法は、やはり生活習慣の見直しです。基本となるのは〈食事・運動・睡眠〉を軸にした「規則正しい生活」。栄養バランスの良い食事を摂って、定期的に適度な運動をし、少しでも睡眠時間を確保していきましょう。

食事をつくるのが面倒な時には栄養士監修のバランスが良い食事をデリバリーしてみたり、一駅前で降りていつもより多めに歩いてみたり、天気の良い日には散歩がてら家の周りをジョギングしてみたり、まずは日常に無理なくできる範囲で工夫をしてみるといいですね。

最近はSNSやYOUTUBEなど夜ふかしをしたくなる誘惑も多いですが、早めに切り上げて睡眠時間を多めにとるように意識することも大切ですよ。

なかなか眠れないという方には、眠る前のリラックスタイムにはアロマもおススメ。『ゼラニウム精油』や『ローズオットー精油』はエストロゲン濃度を増加させてくれる作用があるので更年期にピッタリですね。

ストレスを軽減させる

ストレスを軽減させる

ストレスの軽減も自律神経のバランスを整えるために効果的。ネガティブに感じていたことをポジティブな考え方に意識的に転換させていくことも大切です。

更年期は自分のために過ごしていい時期。自分のために用意された真新しい時間を思い切って楽しんでみましょう。

心を落ち着かせる香りが楽しめて、しっとり保湿できるスキンケアでストレスを解消することもおすすめです。気持ちをリラックスさせながら肌を労ってくれるので、アンチエイジングにも役立ってくれますよ。

積極的に取り入れたい食材

積極的に取り入れたい食材

生活改善とともに取り組んでいきたいのが食生活の改善です。特に意識的に摂取したいのは、大豆に含まれる「イソフラボン」。イソフラボンには、女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」という成分を分泌させる働きがあります。

大豆のイソフラボンが腸内細菌によって分解され、エクオールが分泌されます。このエクオールがホットフラッシュを緩和するのですが、日本人の5割の者はエクオールを分泌することができないのです。

出典:兵庫産業保健総合支援センター:質問:サプリメントなどホットフラッシュへの対策について教えてください。

エクオールは更年期の悩みのタネとなるホットフラッシュを軽減させるという報告がありますが、体質などにもよります。もし効果が実感できなければ、プロのアドバイスをもらい、他の対策も探ってみてくださいね。

たんぱく質豊富な大豆食品は、肌や髪を健康に保つためにも効果的ですので、アレルギーなどがない限りは毎日、積極的に食べることをおすすめします。その際は、豆乳などではなく、納豆や豆腐など大豆そのものを噛んで消化することを意識してくださいね。

更年期対策でこれからの人生も楽しんで!

どんな不快な更年期にも必ず終わりがあります。更年期は今まで頑張ってきたご自身をいたわりながら見つめ直し、これからの人生をさらに楽しむための素晴らしい転換期です。

食を楽しみ、こつこつと身体を動かし、時には自然に親しんだり、ぼんやりなんでもない時間を過ごしてみたり、自分だけの時間を思い思いに楽しむ中でストレスを手放していきましょう。人生100年時代、女性ホルモンとうまく向き合って心身が健やかな人生にしていきたいですね。

参考書籍:対馬ルリ子『女性ホルモンで世界一幸せになれる日本女性』マガジンハウス,2015年,pp12-32

荒浪 暁彦_あらなみクリニック総院長 <この記事の監修>
富田 和美
ナチュラルセフルケアコーディネーター
自然療法家
セラピスト
リフレクソロジスト

【ヒーリングサロン和草公式HP】
https://r.goope.jp/nico-gusa
 

外資系化粧品メーカーでの美容部員、メイクアップアーティスト、セラピスト、ブランドトレーナー、コスメバイヤー等約30年に渡り化粧品業界で様々な仕事に携わる中、30歳すぎに経験した自身の肌荒れを皮切りに、不妊治療や更年期の劇的なカラダの変化など様々な実体験から「肌とカラダを活かすナチュラルセルフケア」を独自に導き出し、美容家としてオーガニック・ナチュラルコスメメーカーと消費者とを繋ぐ様々な活動を行う。2015年にオープンした自然療法サロン「ヒーリングサロン和草」での個人セッションをはじめ、全国各地でのワークショップ、大手百貨店でのイベントディレクター等の活動を通し毎日をここちよくする衣食住の提案を行う。近年は、デリケートゾーンケアをメインとしたセミナーや個人カウンセリングを通じて不妊や更年期の悩みを抱える女性へのサポート活動にも力を入れている。