肌育コラム

COLUMN
2022.3.10

プロに教わる!体にいい沖縄料理レシピ〜島豆腐たっぷり沖縄みそ汁編〜

プロに教わる!体にいい沖縄料理レシピ〜島豆腐たっぷり沖縄みそ汁編〜

沖縄好きにはたまらない美味しい沖縄料理・・・実は体にもいいことをご存じでしたか?
沖縄出身のフードアナリスト玉城さんに、「島豆腐」の魅力と「島豆腐たっぷり沖縄みそ汁」レシピを教わりました。

旅行に行きづらい今、ぜひ本場らしい味わいを求めてご自宅で作ってみませんか?

1記事目もぜひご覧ください

>>プロに教わる!体にいい沖縄料理レシピ 〜チャンプルー編〜

2回目となるコラムは、沖縄料理に欠かせない「島豆腐」にスポットを当てていきます。
そして島豆腐をたっぷりと使った具沢山の沖縄みそ汁をご紹介しますが、作り方はいたってシンプル。
沖縄の風土そのものを表すような「大らかな」みそ汁です。

沖縄で作られる豆腐は「沖縄豆腐」または「島豆腐」と呼ばれ、沖縄県外で作られる豆腐に比べて硬く締まっているのが特徴です。 また1丁の重さが800g〜1kgと大きく、ズッシリとした存在感があります。


硬いだけじゃない!島豆腐の栄養と風味に注目

島豆腐は炒める・煮るといった調理に向いていますが、特長はそれだけではありません。
伝統的な製法で作られた島豆腐と木綿豆腐・絹ごし豆腐を比べると、栄養価はこのように違います。

島豆腐の栄養価命

島豆腐は一般的な豆腐と作り方が違うこと、そして水分量が少ないことから、たんぱく質や脂質の量が多く、風味も豊かです。

ミネラルの量もやや多めです。ミネラルは体の構成要素であり体の機能の維持・調整に不可欠ながら、体内では合成できないため、日々の食物から摂ることが大事です。 ナトリウムが突出して多く見えますが、これは豆腐を固めるのにかつては海水を使っていた名残りから、作る過程で塩を添加するため。

ほんのりとした塩味が付いていることによって、「豆の味が生きた」美味しさを感じることができるのです。

今では絹ごし豆腐など一般的な豆腐も売っていますが、「硬く締まった豆腐」はやっぱりソウルフード。
そんな島豆腐の今と昔を見てみましょう

豆腐は、琉球伝統・4大食材のひとつ!

沖縄の伝統料理に欠かせない4大食材のひとつが豆腐です。琉球王朝時代に書かれた食医学書「御膳本草(ぎょぜんほんぞう)」にも登場する、医食同源の考え方に適った食材で、その本にはこう書かれています。

「中をゆるくし、気を益し、脾胃を和合し脹満を消す。大腸の濁(にごり)を下し、熱を清(さま)し、瘀血(ふるち)を散らす効(ききめ)がある。」
(訳: 胃腸の不調を緩和し、疲労感を回復させ元気を補う。便通を良くし体の余分な熱を取り、血行不良を改善する。)

炒めて・煮て・揚げて…と、豆腐を主役に据えた家庭料理が多いことからも、手に入りやすくて栄養豊富な食材として昔から重宝されてきたことが伺えます。
(ちなみに4大食材の残る3つは、豚・昆布・芋です。)

豆腐消費量が日本一!

総務省統計局「家計調査」2020年度の調査(※1)によると、県庁所在市別の豆腐消費額において、那覇市が全国1位となっています。 家庭内で食べる以外に、外食や中食で豆腐を食べる機会が多いのも確かです。

お気に入りの豆腐屋を語れる県民多数!

沖縄には「豆腐は熱くて出来立てのものを買う」という文化があり、「●●豆腐屋 ▲時納品」という告知が県内のスーパーでもよく見かけられます。この時間に合わせ、お気に入りの豆腐屋さんの “アチコーコー” 豆腐(方言で出来立てアツアツの意味)を買いに行くのが、今も続く伝統です。

お気に入りの豆腐屋を語れる県民多数! お気に入りの豆腐屋を語れる県民多数!

(2021年6月から衛生管理基準が厳しくなったことにより、アチコーコー豆腐の販売が大きく減る可能性もあります。)

沖縄でみそ汁といえば、軽く2人前はありそうな具沢山のみそ汁で、主菜(おかず)を兼ねた一品です。
食堂にも「みそ汁定食」というメニューがあるほど。

島豆腐たっぷり沖縄みそ汁

前回ご紹介したチャンプルーと同じく「一品で栄養バランス◎」「時短」なメニューでもあります。
「こうやって作る」といった絶対のルールはなく、島豆腐が手に入らなければでも木綿豆腐でもOKです。
(もしくは前回のコラムで紹介した木綿豆腐を島豆腐風に仕上げる技も参考ください)
ストック食材を使い、作ること・食べることを大らかにシンプルに、楽しんでください。
せっかくなら沖縄の伝統的な陶器「やちむん」によそうと、雰囲気も高まりますね。

〈レシピの分量で、成人女性のたんぱく質摂取推奨量(※2)の約1食分、野菜摂取目標量(※3)の約4割となります。〉

材料の一例(1人前 ※通常のみそ汁の1.5人前程度)


沖縄みそ汁_材料

・島豆腐 または 木綿豆腐 80g
・卵 1個
・かぼちゃ 60g(写真は冷凍かぼちゃ)
・人参 20g
・キャベツ 70g
・味噌 20〜25g
・水 250〜300cc ★
・鰹節 5g ★

★昆布やだしパック等、お好みのだし汁でOKです。

作り方

1.豆腐は2〜4等分に手で割り、野菜は食べやすい大きさに切る。
かぼちゃ等の硬い野菜は電子レンジで加熱して柔らかくしておく。

2.鰹節をお茶用パックに入れ、鍋に入れる。
水、キャベツ、人参を加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして3分ほど加熱する。

沖縄みそ汁_つくり方 沖縄みそ汁_つくり方

3.パックを取り出し豆腐・かぼちゃを加えて、味噌の2/3の量を溶き入れる。
卵を加えて蓋をし、具材が好みの硬さになるまで加熱する。

沖縄みそ汁_つくり方 沖縄みそ汁_つくり方

4.味見をして、残りの味噌を加減しながら加えて完成。

沖縄みそ汁_完成

美味しく仕上がるコツ

・味噌を2回に分けて加えることで風味が引き立ち、味の調整もしやすいです。
味噌を2種類使えばコクが増して一層美味しくなります。

・肉や魚類を加えると、うま味・食べ応えが増します。
魚のつみれ・鶏団子・ベーコンなど、「コレを入れたら美味しいかも」「ちょっとだけ余ってるから入れちゃおう」そんな気軽さで作ってください。

・春ならアスパラガス、夏ならトマトなど、旬の素材を加えて季節を一緒に味わうのもおすすめです。


沖縄の豆腐文化 and more

豆腐は沖縄の食文化と切っても切れない繋がりがあり、様々な工夫で食されます。
島豆腐を米麹、紅麹、泡盛などの漬け汁に漬け発酵させた「豆腐よう」は、チーズのような濃厚な食感と風味が味わえる珍味で、ヴィーガン食材としても注目が高まっています。
また、豆腐そのものを味わう汁物料理といえば「ゆし豆腐」。

島豆腐が固まる前のホワホワとした状態ですくい上げたもので、豆のうま味と優しい食感に癒される一品です。
沖縄を訪れる機会があれば、是非これらの豆腐料理を味わってみてください。

豆腐よう ゆし豆腐

参照1:総務省統計局「家計調査」都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量(二人以上の世帯)より。

参照2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準 (2020年版)」より。成人女性が1日に必要なタンパク質推奨量は50g/日。

参照3:厚生労働省「健康日本21」より。野菜摂取目標量は350g/日。

玉城 久美子_沖縄ライフスタイルアドバイザー <この記事の監修>
玉城 久美子
沖縄ライフスタイルアドバイザー

https://linktr.ee/kumikotamaki

沖縄県那覇市出身、東京都内在住。
「沖縄に関すること」「食に関すること」が活動の中心。 (沖縄料理教室主宰、レシピ開発、食イベントのコーディネート、記事執筆、沖縄食文化講話など)
「沖縄ライフをふだんの暮らしに」「地域各地のイイモノ・イイコトを暮らしに」をテーマに、心と体に優しい生活を送るお手伝いをします。